マッチ戦隊リンリンジャー 第三話

迫り来る悪の軍勢、ヴィラン。童話世界を侵略しようと様々な物語から侵略してきた。
そう、童話世界は今、滅亡の危機に瀕していた。そんな中輝く一筋の希望の光。

それが、マッチ戦隊リンリンジャーである!
「炎の続く限り、片っ端から相手になりますわ!」

第三話 出会いそして別れ
暖かな春の日差しが辺りを包み込む午後のひととき。その女性はオープンスペースとなったカフェのテーブルに座り言った。
「ところでここは喫茶店、でよろしいのでしょうか……」
見目麗しい黄金色の髪が太陽の光に反射してキラキラと輝いている。そしてスラリと伸びた足、姿勢の良い立ち居振る舞い、豊かな胸元、まさに美女とも言うべき彼女の名前はサンドリヨン。
「ああ、そうだぜ。訳あって屋根がなくなっちまったけどな」
ピーターはジト目でリンの方を睨む。リンは動じることもなく堂々としていた。
「その通りですわ。ここは喫茶店ネバーランド。そしてリンリンジャーの秘密基地ですわ!」
「いつ秘密基地になったんだよ、おい!」
ピーターの虚しい非難の声をBGM代わりに二人は会話を続けた。
「ああ、やっぱり! ここがネバーランドですか。実は妹の為にバームクーヘンを買いに来たんですけれど……
と、店内(と思わしきスペース)を見回すサンドリヨン。あまりの惨状に眉をひそめた。
「なんということでしょう……これは一体誰が……」
「全てヴィランの仕業ですわ!」
間髪入れずにリンが答えた。
「おい、ちょっとまて、それはお前がブゲラッ」
的確にSSをかましてピーターを黙らせるとリンは続けた。
「この童話世界に危機が迫ってますの。闇の軍勢ヴィラン、それを倒せるのはわたくしたちリンリンジャーだけなのですわ!」
「そうだったのですね……わかりました。私も参りましょう」
ニッコリと微笑むサンドリヨン。その時だった。
「あのー、すいません、こちらにうちの弟がお邪魔しておりませんでしょうか……」
先程と同じワニである。そしてその身体は一回り大きい。
「敵ですわー!」
反射的にリンが叫ぶとサンドリヨンは双剣をどこからともなく取り出し(そこ、おっぱいリロードとか言わない)地面に叩きつけた。
「煌け、我が閃光の刃よ!」
大地からクリスタルの様なモノが隆起し直線を描いてワニに向かって行く。
「ゑ?」
けたたましい音を立ててワニは吹っ飛んでいった。
「す、すごいですわ!」
「これが私のクリスタルスラッシュ。姉妹喧嘩の末に生み出した必殺技です」
豊かな胸を張るサンドリヨン。
「あのー、すいません」
横合いから声が掛けられた。
「これはあなたがやられた、間違い無いですかな?」
「はい、そうですけど……」
キョトンとした表情でサンドリヨンは答えた。
「私はそこの警察署のクウバと申します、すいませんがそこの事故の件についてお話を聞かせてもらえませんか?」
クウバの指さす先ではクリスタルの様なモノに車が衝突して玉突き事故を起こしていた。
「あ、あの、これは、その、正義の為でして……リンさん!」
縋るような目を向けるが力なくリンは首を振った。
「まあ、詳しい話は署の方でお聞きしますよ」
ばたん。無情に閉じるパトカーのドア。ぴーぽーぴーぽー。虚しく響くサイレン。
「また一人になってしまいましたわね」
パトカーを見送りながら寂しげに呟くリンであった。

一人の仲間と引き換えにヴィランを討ったリンリンジャー。戦え、この童話世界に平和が訪れるその日まで!(続く?)