2019-01-01から1年間の記事一覧
「好き」とはなんなのでしょうか? ドロシィさんと二人でお出かけした時に言われたのです。 「世界で一番マスターを好きなのはウチや!」 彼女は語ってくれました。いかに彼女がマスターの事を好きなのかを。 「最初はなー、なんかけったいなよーわからんやつやと…
晶葉が気がつくと、セミが鳴いていた。 「ここは一体どこなんだー!」 「ここは田舎の保養所でございますよー」 「ライラ?」 「はい。そうなのですよー」 叫びに答えたのはのんびりした声だった。いつも晶葉の助手を務めてくれるライラ。いや、助手という訳では無い…
その場所は、図書館と呼ばれていた。 仕事帰りに疲れた身体でコンビニ弁当を買って帰る生活。実家に帰る度に早く結婚して孫を見せろとせっつかれているが生憎とそんな宛はどこにもない。俺は今日もコンビニ弁当を買って帰ろうとしていた。目に入ったのはスー…
「誰もいないナ!」 「どなたもいませんですねー」 夜。仕事を終えてプロダクションに帰ってきた二人。プロデューサーはアクシデントがあって他の現場にとんぼ返り。事務所の明かりはついていたが誰もいない。ちひろさんもお出かけのようだ。帰宅すれば良いのだ…
「ナターリアだヨ! よろしくネ」 その子が転校してきたのはカラッと晴れた青空の五月だった。褐色の肌、人懐っこい笑顔、キラキラ輝く太陽みたいな子だった。 私とは大違い…… 「席は……そうだな山口の隣にしよう」 先生が私の名前を呼ぶ。 「は? ふぁい!」 変な…
小学五年生の夏。僕は確かに恋をした。 夏休み。父がロケで田舎に行くと言うので、父の食生活が心配だった僕はついて行くことにした。何せ山奥だ。身の回りの世話をアイドルにさせる訳にはいかない。父はプロデューサー。アイドルをプロデュースするのが仕事…
「どうして……どうして戦わないといけないの!」 アリスは叫んだ。目の前に居るのはアリスの影、シャドウアリス。昨日は二人でお菓子を食べながらどんなイタズラしようか考えてた。それなのに…… 「目を覚まして!」 アリスの声に彼女は答えない。真っ赤な目が爛々…