2018-01-01から1年間の記事一覧

ハレの日

「姉上はどこに行ったのだ……」 盛大にため息をつきながらアシェンプテルは廊下を歩いていた。 「ここは我らの家ではないというのに」 「おや、アシェでは無いですか。何をしているのです?」 にこやかに微笑むサンドリヨン。本当に何事も無かったかのように振舞っ…

サンドリヨン

貴方に出会えて良かった…… そう思ったのは初めてあったあの日。 出会いは戦場。 私は双剣を、貴方は大振りの大刀を持っていた。 言葉もなく、ただ、目の前の敵を打ち倒すのみだった。いつもと同じ戦場のはずだった。 なのに……何故か貴方の側は心地良かった。…

豆まき

「日の本には豆まき、という風習があるそうですわ」 リンちゃんはアリスのお茶会でカフェフラペチーノを飲みながらみんなに言った。 「へえー、それって面白いの?」 アリスがスコーンにクロテッドクリームを塗りたくりながら聞く。 「なんでも鬼役の人に豆をぶつ…

メアシュネ2

オレがシュネーに会ったのはある戦場での事だった。 そいつは戦場に1人で立っていた。 そいつは戦場で1人で咲いていた。 そいつは戦場で1人で舞っていた。 圧倒的な「白さ」汚れを知らぬ「純潔」 一目見て心を奪われた。 オレは黒き闇の力を持つナイトメア。 …

メアシュネ1

彼と出会ったのは森の中。一人戦う私に何度もちょっかいを掛けてきた。 「なあ、アンタ。ちょっと真面目過ぎるんじゃねえか? もっと楽に生きればいいじゃねえか」 そう言って嘲笑う彼に私はいつも答える。 「別にあなたに興味ありませんから。私には戦わなくち…

おせち作り(その2)

吉備津彦は悩んでいた。 吉備津彦がおせち料理を食べていた時の話だ。 かぐやがお裾分けにとおせちを持ってきてくれた。そのおせちはなるほど美味かった。 そのおせちにサンドリヨンがケチをつけたのだ。本場のフランス料理に劣る、と。 売り言葉に買い言葉…