マッチ戦隊リンリンジャー 第1話

迫り来る悪の軍勢、ヴィラン。童話世界を侵略しようと様々な物語から侵略してきた。
そう、童話世界は今、滅亡の危機に瀕していた。そんな中輝く一筋の希望の光。

それが、マッチ戦隊リンリンジャーである!
「炎の続く限り、片っ端から相手になりますわ!」

第一話 闇の軍勢、襲来

「あー、暇ですわー」
狭い店内に活発な少女の声が響きわたる。
「いきなりなんだってんだよ」
ここ、喫茶ネバーランドのマスター、ピーターが声をあげる。
少女の名はリン。本名はリン・ホスホリック・ルミネセンス・オブ(略)まだ10歳の美少女だ。
「わたくしはこの童話世界を守るヒーロー、リンリンジャーなのにヴィランなんか攻めて来ないじゃありませんか!」
ばんっ、と手をついて立ち上がる。テーブルの上の紅茶をこぼす様なはしたない真似はしていない。
「とは言ってもよ……」
ピーターが呆れたように言う。
「お前一人しかいないのになんで戦隊なんだよ。だいたいここ喫茶店なんだからライダーとかでもいいじゃねえか」
「そんなことしたらライダー毎の正義が出来てしまいますわ!  わたくしが正義なのですから!」
間髪入れずリンが答える。
「お、おう……」
ピーターは気圧されたのだろうか少し後ずさる。
「じゃあよ、聞くけどさ」
姿勢を正しながら聞くピーター。
「その闇の軍勢、ヴィランだっけ?どこ情報だ?」
「それはもう、お姉様が言ってらしたもの」
リンはピーターの問い掛けに胸(AA)を張って答えた。
「あー……ミクサか」
ピーターは物静かだがちょっぴりイタズラ好きなリンの姉の事を思い浮かべた。
「お姉様の言うことに間違いありませんもの。ヴィランは必ずやって来ますわ!」
拳を握り締めて熱く断言するリン。その時だった。
入口のドアが開いて一人の男が姿を表した。
「いらっしゃい……」
ピーターは言葉を止めた。その異様な風体に言葉を失ったのだ。
爬虫類特有の鱗、口元には鋭い歯、そして太い尻尾。どこからどう見ても二足歩行するワニの様だった。
「あー、どうも初めまして。私はこの度隣に引っ越して来たヴィランと(ry」
「ちぇりゃー、ですわ!」
みなまで言い終わる前にリンの飛び蹴りが鼻っ柱に命中する。
「ぐおおおおおおー」
ローリングしているかの様に転がり回るヴィラン
「トドメですわ、さんはいっ!」
リンが魔法の杖を振るうと空から小さな隕石がワニに激突した。
「ぐふっ」
隕石に衝突した後に残ったのは天井が破壊された喫茶店とヴィランの残骸、そして引越し蕎麦であった。
「勝利ですわ!」
「勝利ですわ!、じゃねえ!」
スパ、スパ、スパーン(SS)
「一体何をするんですの?!」
リンが非難がましい目を向けるとそこには青筋を立てているピーターの姿があった。
「俺の店に何してくれてんだ、それに引越しの挨拶に来た奴に飛び蹴りかまして隕石落とす奴がどこにいるんだよ!」
怒りでまくし立てるピーター。リンは微笑みながらキッパリと言った。
「大丈夫ですわ。これはギャグですから次回には何も無かったかのように元に戻ってますわ!」

かくして童話世界の平和は守られた。だが、これが最後のヴィランとは思えない。必ずや第二、第三のヴィランが現れるに違いない。
戦え、マッチ戦隊リンリンジャー。全ての悪が潰えるその時まで!(続く?)