マッチ戦隊リンリンジャー 第2話
迫り来る悪の軍勢、ヴィラン。童話世界を侵略しようと様々な物語から侵略してきた。
そう、童話世界は今、滅亡の危機に瀕していた。そんな中輝く一筋の希望の光。
それが、マッチ戦隊リンリンジャーである!
「炎の続く限り、片っ端から相手になりますわ!」
第二話 二人目の仲間
それはある晴れた日のこと。心地よい新緑の風が吹いて優しく肌を撫でる。どこからか飛んでくる桜の花びらはまさに春真っ盛りという事を教えてくれる。ここは喫茶店ネバーランド。
「直ってねーじゃねーか!」
ピーターはテーブルに座って優雅に紅茶を飲むリンに向かって怒鳴った。
「何を当たり前の事を言っているんですの? 壊れたものは修理しない限り戻る訳もありません。そんなの常識ですわ」
前回の発言を棚に上げてリンは紅茶を飲む。カップの中に桜の花びらが入ってきた。
「優雅ですわねー」
「優雅じゃねえよ! どーすんだよ、この店」
非難がましい目でピーターはリンを見た。
「正義の前に多少の犠牲はつきものですわ」
「……単なる引越しの挨拶だったけどな」
手打ち蕎麦セットが虚しく転がっている床に目を向けピーターは言った。
「騙されてはいけませんわ! きっとこれは毒入りですわ!」
リンは手打ち蕎麦セットを拾い上げてピーターに突きつけた。
「わたくしがそれを証明してみせますわ。ちょっと台所を借りて……ふむ、なかなか高級そうですわね。でもこれはカモフラージュに違いありませんわ」
包を開けるとそこには桐箱に入った蕎麦セット。
「茹でて……ツユを付けて……ちゅるちゅるっ。あっ、旨っ。ちゅるちゅるずずーっ、ごくごく、ぷはぁ」
…………辺りを静寂が包む。
「大変美味しかったですわー」
満面の笑みを浮かべるリン。
「Σ\(゚Д゚;)おいおいおいおいwww」
思わず顔文字入りでツッコミを入れてしまったピーターであった。
「それはともかく……敵が来たと言うことは仲間が必要ですわね」
ツッコミをスルーしてリンはつぶやく。
「とりあえず次にこの店に来た人を仲間にしましょう!」
ピーターは深くため息をついた。
「屋根が壊れた喫茶店に来る奴なんかいんのかよ……」
「来ましたわー!」
リンの声にピーターが入口(であったところ)を見ると人影があった。
「ごめんください……」
「ちょりゃー、ですわ!」
その時、入口の人影に向かって放たれる飛び蹴り! しかし、その女性はこともなげにかわす。
「なかなか、やりますわね」
飛び蹴りをかわされたリンの視線はこの上なく強調された胸元に集中していた。
(わたくしはまだ成長期、わたくしはまだ成長期……)
「ええと、これは何の催し物でしょうか……」
困った様に呟く女性。
「あなた、合格ですわ!」
「え?」
リンは女性の肩を掴むとニッコリと微笑んだ。
「あなたは今日からリンリンジャーの一員ですわ!」
頭の中に???を浮かべながらなんとか理解しようとする女性。
「この街の平和を守るために一緒に闘うのですわ!」
キラキラとした瞳の輝きに女性はキョトンとしながらも答えた。
「平和……ええ、わたしでよろしければ」
「わたくしの名前はリン・ホスホリック・ルミネセンス・オブ……あー、面倒だからリンでいいですわ」
女性はスカートをつまみ上げながら優雅に礼をした。
「サンドリヨンと申します」
「これからよろしくですわー」
「ええ、こちらこそ」
ぽかーんとしてるピーターを尻目に第二の仲間が出来た。
闇の軍勢の脅威はすぐそこまで忍び寄っている! 戦え、負けるなリンリンジャー!(続く?)